女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
24号 (January 1993)   p. 25

『おこげ』vs『きらきらひかる』

根上

輝く星、光に反射する海、スパンコール、シャンデリア、魚の肌、 豆電球のいっぱいついたクリスマスツリー、秀吉の茶室、 今年のエレッセのスキーウエアー等々、結構、光ものの好きな私は、 本年度(92年)日本映画のゴールドメダリストのようなタイトルをつけた 『きらきらひかる』に軍配をあげたい。

ホモセクシャルの映画を見るゾ、と行ったわりに、『きらきらひかる』は 「ステキな青春映画を観てしまった。」というひょうし抜けのうれしさが残りました。

おこげ』の映像に圧倒され、二人の男の関係の描き方には、 「ふーん、そうなんだ」と納得させられましたが、どーも、 おこげちゃん(清水美砂)が、浮いていてよくわからない。どーも、変態にしか見えない。 二人の男よりより、気味が悪かったのです。 二人に部屋を貸すのはまだしも(部屋のレンタル料を、とるならまだ良い) 二人の睦声を聞いて、ニヤニヤしたり、自衛隊の男に「私を剛と思って抱いて」 なんて言っちゃったり、するのは、変だよ! マゾっぽい。

「二人と一緒にいると安心するの」という小夜子の気持ちは、わからなくもないが、 (相手が男でなくても良いのだ)本当に「おこげ」の存在って世の中にあるの?

自分が関わった事ないから、よく解からないけれど、三人の関係からすると 『おこげ』の方が不自然でかえって自然なのかしら…とも思うし、 『きらきら…』の三人の関係はありそうで無いような気もする。 昔、男・女・男というサンドイッチ関係の映画がありましたけど、 男・男・女の新しい形のレンアイ!?を(あり得るんだよ) とカッコつきで教えられたような二本の映画でした。

これも愛、あれも愛、たぶん愛、きっと愛なのかしら?
個人的な趣味からいうと、ラストは気にいらなかったけれど (少々おーげさって気がします) 『きらきら—』の方が気持ちが良い映画でした。 豊川悦司さんがすごく上手いんだけど、最近注目していた筒井くんが、 カッコ良くなったこと、それから映画のテンポやジョークが面白かった事から、 やっぱり『きらきら—』に右手が上がってしまいます。

おこげ』も中島監督が清水美砂の代わりに出ていたらもっと面白かったかもしれませんね。 映画評でほめられていた、ファミレスのウエイトレスの言葉 「生きるってことが、幸せってもんですよ。お客さん」という台詞が、 何故か私には臭う。私は聞いてみたい。「三人の見たシマウマは何だったの?」 「それが共同幻想ってもんですよ、お客さん」と言うだろうか?

この次は『きらきらひかるおこげ』というのを見たい!

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