宮崎暁美 今年になって従軍慰安婦のことが、新聞などで大きく取り上げられるようになってきた。 私はシネマジャーナルニ十号 『アリランのうた』の中に、TVで放映された斉藤由貴、加勢大周主演の、 朝鮮人強制連行をテーマにした番組の事を 「内容が不自然なところが多く、ひどいものだった。観ていてとても気恥ずかしかった。」と書いた。 しかし、最近の新聞の記事によると、 その番組によって強制連行や従軍慰安婦のことを知った高校生たちが多いことを知り、 きっと他の出演者だったら絶対、見ないであろう内容だったのかもしれないけど、 アイドル目当てで見ることによる効果はあったのだということを、そして、 あらためてTVの力の大きさを知った。 『アリランのうた』も、 長年従軍慰安婦問題に取り組んでいる人たちや、運動をやっている女たちの間では、 評判が良くなかった。 ある程度知っている人にとっては、ものたりなさや食い足りなさを感じるのだと思う。 すべての人が満足や納得のいくものを作ることは難しい。 それでも、その努力を続けなければならない。 それが映画を作る原動力にもなる。 『戦場の女たち』 の中にもパプア・ニューギニアでの従軍慰安婦のことが出てきた。 従軍慰安婦の中にも民族による差別があったこと、日本人、朝鮮人、現地の女性という差別構造だ。 日本人従軍看護婦の従軍慰安婦に対する偏見の目もこの映画は描いていた。 あちこちから、マグマを吹き出し、知らされてこなかった真実を掘り起すこと、 それが今の日本人に問われている。 日本軍国主義がしたことだと、知らないふりはできないのだ。 |