女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
22号 (1992.04)   pp.55--57

映画 LIVE HOUSE “この映画をチェック”


『ホット・ショット』  
『ハーレーダビットソン&マルボロマン』  
『リコシェ』  
『ジャンゴ 灼熱の戦場』  
『ダブル・インパクト』  
『バグジー』  
『夢の涯てまでも』  
『上海1920』  


このコーナーでは、配給会社が眉にツバつけて(?)売ろうとがんばった(ている)映画を その映画のキャッチコピー(茶色表示)もつけて わたしたちが独断と偏見でチェックします。

思わず涙してしまう感動ものあり、頭にくる映画あり、どうにかしてくれ〜としかいえない映画あり。

あなたのチェック度はいかがですか?

ご意見・参加をお待ちしています!!!!!




ホット・ショット

空で何かヘンなことが起こっているゾ!

ストーリーは特になってなくても、これだけ瞬間ギャグ (の中にも映画のパロデイがいくつかはいっている) と映画のパロデイがはいっていれば満足できます。 でもせっかくのパロデイも元の映画を知らなくちゃ面白くないよね。 『トップガン』や『ダンス・ウイズ・ウルブズ』は笑えても 『フェビラス・べーカーボーイズ』を笑えない人じゃ本当に面白くなかったんじゃないかな。 一年に一度はこんな映画でくそ真面目な映画を単純に笑ってみたいものです。

(Y)
(ジム・エイブラハムズ監督作品)


ハーレーダビットソン&マルボロマン

いかにもバイク好きっていう人(服装でわかるでしょ)が溢れていていつもとは違う雰囲気で観ました。 タイトルから察してもっとメチャクチャなのかなっと思ってた (予告編を観てそう思った)らそうでもなくてまあ無難な出来。 でもこんなに名の売れた主役級のふたり(M・ロークとD・ジョンソン)を主従を決めないで、 おまけに個性も似たりよったりで演技させれば、まとめようがないんだなあっと思いました。 しかし、ラストがあんまリ御粗末。一応黒幕が窓からぶっ飛んで死ぬんだから、 いかにも合成の画はないよね。まあふたリのギャラが高くてそこまで手が回らなかったのかな。

(Y)
(サイモン・ウインサー監督作品)


リコシェ

いつもやさしいおじさま役とかで安心できる役柄ばかリのジョン・リスゴーが一変して 極悪非道の悪人で、『ケープ・フィアー』 のロバート・デ・二ーロばリで頑張っている前半は見応えあったんです。 が、後半にいくにつれてまたかのおきまリのアクションものになって、 バッチリ決めなくてはいけないラストはあえなく串刺しになって死んでしまうのには辟易。 ずばリ予告編にだまされた気がしてならないのです。 おりこうさんのデンゼル・ワシントンのキャラクターも鼻についてしょうがなかった。 過去に名作を作った製作者でも、 要は監督次第でこんな息切れ映画になってしまうこともあるんだと諦めましょう。

それにしても久しぶリに見た"バイオニック・ジェミー" リンゼイ・ワグナーの美貌が衰えていないのは「リンゼイ・ワグナーの美顔指圧」 (ビデオで出ています)でお肌を鍛えているせいなのかな。私もやってみようかな。

(Y)
(ラッセル・マルケイ監督作品)




ジャンゴ 灼熱の戦場

バイオレンス・アクション映画に、ニューヒーロー登場!

フランコ・ネロの主演作品なんぞ久しくお目にかかれず、とにかく出掛けてはみたものの、 そこは場内を通りぬけないと待合室もない、おもいっきり小さい裏通りの映画館。 (名画座じゃないよ) 土曜の午後だというのに観客はまばら。おまけにパンフもなく、 この映画には特に力をいれてませんということはあリあり。 当の作品はというといかにも灼熱といった暑さはわかるんだけど、 このご時勢でマカロニウエスタンのB級映画を観ているようで、淋しさはひとしお。 さらにエンニオ・モルリコーネの例の郷愁をさそう高らかな音楽がバカに目立ってしまって さらにやリきれない淋しさを味わってしまった。 さすがのジャンゴも老いてしまったのかなあ〜。 それにしてもコピーのニューヒーローってなんでしょう。 さっぱリわからない。

(Y)
(デッド・アーチャー監督作品)




ダブル・インパクト

俺達最強双子兄弟世界一。

肉体派が嫌いな人にはお薦めできないけど、 実はジャン・クロード・バンダムのファンだった私には彼が徐々に演技がうまくなって 普通レベルになったのが、なによリうれしい。 隠れた良作『サイボーグ』を抜かしたら、笑い顔がいつも引きつっていて、 しかめっ顔で得意の空手を披露しているときだけがよかった過去は嘘のよう。 余裕を感じました。笑い顔も自然になった。もちろんスタントなしで、アクション指導もこなし、 このまま独自のアクションエンタテイナーになっていってほしいなあ。 脚本や製作もやっているようだけど、くれぐれも誰かのように鷹派俳優にならないでね。

(Y)
(シェルドン・レテイック監督作品)




バグジー

確かにソツはないけど、やっぱりバリー・レビンソンは華やかな世界よりも、郷愁のほうが似合う。 市井の人々を描いてきたこれまでの作品と違い、ギャングには郷愁が感じられない。

主人公は多面性があリ、冷酷な殺し屋であリ、子供のためにバースデー・ケーキを作るパパでもあリ、 かと思うと愛人のためにラスベガスを作る情熱家でもある。 ウォーレン・ビーティーが巧みに演じ分け、いかにも自信満々。

アネット・ベニングはあでやかだが、『グリフターズ』の悪女の衝撃には及ばなかった。

(雀)
(バリー・レビンソン監督作品)




夢の涯てまでも

実はこの映画を見て疲れちゃった。

目まぐるしく居場所が変わる慌ただしさや話のややこしさ。 コンピューターやハイビジョンを駆使した映像も、しつこく出てくると疲れる。 だけど世界中を巡って最後、オーストラリアに辿り着いたところから、 がぜんおもしろくなった。

コンピューターを自由自在に操る近未来の地球。 国内旅行をするように外国を行き来し、アップテンポで移動が描かれる。

謎の旅を続ける男に『ドクター』『蜘蛛女のキス』のウィリアム・ハート、 その彼を追う女に『ベルリン・天使の詩』のソルベイグ・ドマルタン、 それに主人公の母親役にジャンヌ・モロー。

盲目の妻のために視覚をあたえるカメラを開発した父。 その実験場所がユニーク。

自分の夢を再生映像で見ることに溺れていった涯てに見たものは……

オーストラリアの原住民であるアボリジニーたちが研究者として出ていて 興味本位の民族紹介的になっていないのもお薦め。

(M)




上海1920』あの日みた愛のために

ジョン・ローンの最新作ということでしたが、なんか老けてしまいましたね。 それに、この人可哀相ですね。仕方ないんでしょうけれど、 だんだん役が固まってきてしまった感じがする。これも、 1920、30年代の上海を舞台にしたアメリカ人との友情物語で、 なんかイマイチぱっとしないんですよね。音楽は喜多郎ということでしたが、 クレジットが出てなかったら、彼とはわからなかったでしょうね。 とにかくインパクトがなかった作品。

(S)
(レオン・ポーチ監督作品)



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