飯島 女性フォーラムで、一日に一挙、ジェーン・カンピオンの映画を上映するという企画に行ってきました。 結局、短編の「ピール」、「キツツキはいない」を見損ねてしまい、 「彼女の時間割」と、最近シャンテで公開されていた 「エンジェル・アット・マイ・テーブル」の2本を観ました。 「彼女の時間割」は、思春期の女の子と、同世代の少年との性体験、妊娠の過程を追ったもので、 少女の繊細な心理描写が淡々と描かれていて、それが凄くリアルで、 女性監督の作品なんだなあという印象を受けた。 恋愛の過程を感情で追うのではなく、あくまでも儀式的な人間行動として、 真っ向うからカメラを向けているところに、衝撃を受けた。 その後に「エンジェル・アット・マイ・テーブル」を観たのですが、 こちらは人間の感情面、精神面に触れた作品で、ジェーン・カンピオンの才能を見たりという感。 ジャネット・フレイムという女流作家の数奇な半生を描いたこの作品は、 ベネチア映画祭等で賞を受け、最近、東京でも公開された作品。 ジャネットは感受性が極めて強く、ひどく内気な為に、周囲の理解が得られず、 精神病院に入れられたりしながら、やがて、大人として成長していくのだが、私は、 このジャネットにぐいぐいと感情が引きこまれてしまった。 私はジャネットの様に、ひどい対人恐怖も体験した事もないし、精神病院にも入った事はないが、 自分の内的な部分、自分自身を模索していく内に、 段々と自分を見失ってしまうその複雑な心理情況に、ひどく同感した。 そして、その心理情況を、細やかに描ききったジェーン・カンピオンに感銘。 更にこの映画のもっと素晴らしかったところは、 ジャネットがそのまま殻に閉じこもってしまうことなく、教師を、作家を目指しながら、 勇気をもって生きていくところにある。 カンピオン監督も大分、制作に関しては苦労したようだが、こういった、 女性であることを生かし、且つスケールの大きい映画をつくる女流監督が、 これからもどんどんと流出してくることでしょう。 日本でも近いうちに…(期待)。 |