女が作る映画誌 ー 女性映画・監督の紹介とアジア映画の情報がいっぱい
 (1987年8月、創刊号 巻頭文より) 夢みる頃をすぎても、まだ映画を卒業できない私たち。
 卒業どころか、30代、40代になっても映画に心が踊ります。だから言いたいことの言える本まで作ってしまいました。
 普通の女たちの声がたくさん。これからも地道な活動を続けていきたいと思っています。どうぞよろしく。
[シネマジャーナル]
15号 (1990.06)  pp. 38 -- 40

ふたりが選んだ 気になるあの人
安聖基(アン・ソンギ)

推薦者  R&Y

推薦の言葉

R :

まず容姿からいいますとわたしはあの馬車馬のような体型がよいと思います。 アジアの雄・周潤發の華麗なスマートさに較べるのも何ですが、 あの上半身だけ見ると筋骨たくましくて、実は胴長短足のぐっと安定のよい体型の あの土くさいエネルギーは、『風吹く良き日』『成功時代』での歌舞の中にて イカンなく発揮されているものと思います。

そう、エネルギーといえばあのパワー!!!!!!!!! 最近の疲れめの日本男児が愛飲する栄養ドリンクなど必要としないあの土着のパワーは、 強気とゴリ押しのうちにがむしゃらに突き進む今日の韓国とあいまって、 かの人をヒーローたらしめているのだと信じております。


Y :

私はあの声がとても気に入っています。どんな役もこなし切ってしまう彼ですが、 このあったかそうな声だけは変わりません。 それからやっぱりわたしもあのパワーを押したい。 どのキャラクターにあたっても時代を生きぬくたくましさを忘れないエネルギーは ハッキリいってスゴイ!!!

コメディセンスもバツグンで、世の批評家様方のご意見は大きくはずして、 裴昶浩監督が共演した(これがイインデスヨ。俳優に転向しても十分ヤッテケル) 『ギャグマン』が一番気に入っています (これはおとととしの夏にスタジオ200で一回だけかかったままその後音通不信なんですけど、 どなたかわかりますか?)。 この作品観ているとやっぱり安聖基って映画の申し子なんだな〜と感じてしまう。 いつか映画監督になる事を夢見る映画狂の短絡的な売れないスタンダップコメディアンが役どころだけあって、 彼の映画に対する愛情が避けようもないくらい伝わってくるんです!!


1952年1月1日生まれ。
60年代前半(韓国映画の全盛期)に名子役として多くの映画に出演。 その後一時ブランクがあったが、'78に復帰。 無名時代に李長鎬に見いだされ、『風吹く良き日』でスターとなる。 今や韓国映画界の頂点に立つ俳優である。
第32回アジア・太平洋映画祭で最優秀男優賞受賞。


[フィルモグラフィー]主な出演作

『風吹く良き日』('80 李長鎬)
『曼陀羅』('81 林権澤)
『小人が打ち上げた小さなボール』('81 李元世)
『暗闇の子供たち』('81 李長鎬)
『コバン村の人びと』('82 裴昶浩)
『鉄人たち』('82 裴昶浩)
『霧の村』('82 林権澤)
『赤道の花』('83 裴昶浩)
『膝と膝の間』('84 李長鎬)
『鯨とり』('84 裴昶浩)
『その年の冬は暖かかった』('84 裴昶浩)
『ディープ・ブルー・ナイト』('84 裴昶浩)
『鯨とり2』('85 裴昶浩)
『於宇同』('85 李長鎬)
『外人球団』('86 李長鎬)
『黄真伊』('86 裴昶浩)
『月光の狩人』('86 申承洙)
『冬の旅人』('86 郭志均)
『うれしい私たちの若き日』('87 裴昶浩)
『こんにちは、神様』('87 裴昶浩)
『成功時代』('88 張善宇)
『ギャグマン』('88 李明世)
『チルスとマンス』('88 朴光洙)

* ( )内は監督名

(この後の作品は『南部軍』。もう撮影は終っているとは思いますが、 朝鮮戦争の時のパルチザンの役とか。期待できそうです)

[推薦者への質問]

(1) 演技力はあると思う?
R :

韓国のベルモンドともアジアのデニーロともよばれるほどのセンスとテクニックを 兼ね備えているわけですから、申し上げるまでもございません。


(2) 一番好きな作品は?
Y :

目下は、『ギャグマン』と『チルスとマンス』。しかし、『於宇同』の必殺仕事人姿も捨てがたい。 李甫姫の美しさにただただ見惚れるばかりですが、 ラストの仰々しい曲の中でふたりが絡むシーンは、結構すごい。


(3) この人のどこがズバリ好き?
R :

わたくし個人といたしましては、『鯨とり』などの突き抜けた明るさも良いのですが、 どちらかというと、『外人球団』の野球の鬼ソン監督のアブナイ、ストイックさ。 さらに趣味にはしりまして『膝と膝の間』の家と母親から脱することのできないインテリですとか、 『於宇同』の暗殺の標的を愛してしまう刺客といった役どころの ストイックの極みなどがかの人のかくれた楽しみかたと常日頃思っております。
最近の公開作『チルスとマンス』では、ちょっとつかれめの中年にさしかかった男で、 ご自身のアクションはおさえめかと思えぱ、『成功時代』では、 アクまるだしで突き進む男を演ってしまうのですね。


(4) これからやってもらいたいと思うキャラクターは?
R :

できればここらでしっとりと女と絡む役など観たいものです

Y :

う〜ん、『マイ・レフト・フット』。身体のいたみをもった芸術家をどう解釈して、 どうこなすか、観てみたい。この人ならきっとできるにちがいない。


(5) 最後に言いたいことを、自由にどうぞ。
R :

これからもうつうつとした時代に風穴をあけるべく、ますますのご健闘をお祈りいたします。

R :

名子役だったということですが、ぜひそのころの作品を観てみたいものです。 それから最新作『南部軍』。早く観たいですね。








(p.40 下段・コラム)

▼▼▼薄くなってスミマセン▼▼▼

今回の編集はなぜかいつもに輪をかけてタイヘン。 ワープロを打っても打ってもページが増えない!! これはいったいどうしたことだ!! 時間はない、焦る、風邪はひく、困った!! なんと レイアウトを変えたら一ぺージの字数が三〇〇字以上増えてしまったのだった。

というわけでぺージ数がかなり減ってしまいました。 お手にとってカルイ!とお感じの方、字数に変わりはありません!!

少ない人材、豊かな助っ人、シネマジャーナルは15号も無事出すことが出来ました。

アンケートに協力して下さった方、原稿を寄せて下さった方、お手紙下さった方、 そしてなによりお買い上げ下さった方、 皆さんありがとうございました。

これからもよろしくお願いします!!!

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