今回のおすすめ映画のテーマは、春にちなんで 〈桜〉と 〈旅立つ人へ〉です。 春といえば、真っ先に思い浮かぶのは桜の花です。そして桜の花の下、入学、卒業と、 人々はそれぞれ新しい場所へと動いていきます。 のんびりとした春の日の楽しい『鴛鴦歌合戦』や、「春雨じゃ濡れて行こう」 (『月形半平太』)などと、粋なセリフを吐いていたのも今は昔。 暖房装置の冬が行くと冷房装置の夏が来てしまうのです。 春という季節を背景にした映画というのは、他の季節に比べて少ないようです。 日毎に移ろいゆく微妙な季節は、フィルムに定着させにくいのでしょうか。 けれと、ロメールの新作が『春のお話』というのだと聞いて、 彼の映画の中の夏や冬の空気を思い出すと、期待はふくらんでいきます。 暖かい春の日を心待ちにするように。 |
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