● 『バグダッド・カフェ』についてのあれこれ ● 太ったドイツ人女と中年の黒人女になぜか漂う不思議な魅力/ 『バグダッド・カフェ』を観て/私にもジャスミン下さい!! ● 『バグダッド・カフェ』 ● 『バグダッド・カフェ』映画とマジックの関係 ● 『バグダッドカフェ』ジャスミンという砂漠の化身 |
『バグダッド・カフェ』についてのあれこれ◆あれこれアメリカなのに、〈バグダッド〉で、監督は、ドイツ人のドイツ映画なんて、 『パリ・テキサス』を思い浮かべたり、フィルターをかけたキッチュな感覚のカラー、 ちょっと気取った感じのカメラワーク、妙な間のあるセリフまわし、等々、 一見、おしゃれな感じの仕上り。 主題歌「コーリング・ユー」のヒットとともに、 パリで一年近くもロングラン上映されてるとか、 ロスアンゼルスの映画産業の現場の人達の間で受けていたというような評判や、 〈シネマライズ〉という場所(劇場)柄も手伝ってか、 ちょっとおしゃれな感じの若い子(20代前半位)が観客の大半を占めていたけど、 この映画の主人公の二人は、40を過ぎた位の年齢で、 彼女達(ブレンダやジャスミン)の感じていること、 考えていることをほんとうに理解できるのは、 日常生活の喜びや苦しみや様々なことを知っている、 主人公達と同年代の女性ではないかと思う。 そして、表面はユーモラスでサラッとしてるけど、監督が、 この映画の中で語ろうとしていることには、女の友情とか自立とか、 大きな意味での愛とか、けっこう重いものがあったりするが、 それを押しつけては来ないので、軽い感じで観てしまい、観終わってしばらくして、 ふとこの映画のことを思い出した時に、突然ずしんときたりするような、 不思議な作用をもつ映画。 こんな映画を、おしゃれ感覚だけで観にくる若い子達だけのものにしておくのは、 とてももったいないような気がした。 ◆ストーリーアメリカ旅行の途中、ラスヴェガスヘ向かう途中の砂漠の真ん中で夫とケンカして、 夫の車を降りてしまったドイツ人、ジャスミンがたどり着いたのは、 さびれて汚れたカフェ兼モーテル〈バグダッド・カフェ〉。 ここの女主人ブレンダは、役立たずのダメ亭主を追い出したところ。 子供二人も自分勝手で頼りにならず、一人で働いて、 ひどく不機嫌で怒鳴り散らしてばかりいる。 ジャスミンはブレンダの留守に事務所の中を勝手に掃除したり、 子供達ともいつの間にか仲よくなり、 ここに住みついている老画家ルディの絵のモデルを頼まれたりと、 だんだんこの場所になじんでいく。 ジャスミンは、間違えて持ってきた夫のトランクに入っていた手品セットを 暇つぶしに練習して店で披露するうちに、それが評判になって、 それを目当てのお客が増え、ブレンダとも次第に仲よくなり、 みんなの気持ちがひとつになっていくが、ある日保安官が来て、 ジャスミンは旅行者で労働許可証がないから働けないし、ビザも切れているという。 ジャスミンは仕方なく帰国することにしたが、彼女とブレンダは、 今ではお互いに相手がなくてはならない存在になっていた。そして……。 ◆スタッフ監督/パーシー・アドロン ◆キャストジャスミン……マリアンネ・ゼーゲブレヒト ◆パーシー・アドロン監督1935年、ミュンヘンの生まれ。役者から始まって、ラジオ・テレビの脚色、 ナレーター、テレビのナイトショーでの映画評論担当などを経て、73年から、 多数のドキュメンタリー、TVドラマを製作、演出、その後81年に劇場用映画に進出。 ◆フィルモグラフィー
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